4月16日に放送された『北朝鮮送金疑惑』。8ヶ月に渡る取材で、北朝鮮系金融機関『朝銀』破綻はなぜ起きたのか。そして、その『朝銀』への1兆円ともいわれる国民の血税、公的資金投入問題。『朝鮮総連』による北朝鮮への送金疑惑を徹底追跡した特集番組。
 放送後も、『見逃してしまった』『録画するのを忘れてしまった』と、各方面から問い合わせが多数寄せられました。
 これらの声に応えるために、特集VTR部分の一部を変更(読みやすくするために)したものをホームページ上に再録することにしました。
 取材には、ジャーナリストの野村旗守氏と須田慎一郎氏が協力しています。
 (文中敬称略)

2000年4月16日 テレビ朝日系列 サンデープロジェクト放送
『北朝鮮送金疑惑−血税一兆円!? 朝銀破綻の真相−』

朝銀大阪破綻の真相
3年前、ひとつの金融機関が破綻した。
朝銀大阪信用組合。北朝鮮系の金融機関である。
当時、朝銀大阪信用組合の金洪復(キム・ホンブク) 理事長は記者会見でこう語っている。
朝銀大阪信用組合
金洪復(キム・ホンブク)理事長(当時)
『大阪府下同胞組合員の財産とも言うべき朝銀をこのような状況に到らしめたことに対して責任を痛感するとともに・・・皆様方に対し、多大なご迷惑をおかけする事を深くお詫び申し上げます』
そして、朝銀大阪の処理には、3101億円もの公的資金が投入された。
朝銀大阪は、何故破綻したのか?
当時の監督官庁であった大阪府が作成した資料によれば、朝銀大阪の不良債権は、平成8年度で2703億円。
その大口貸出先リストを見ると、最大の貸出先は、個人で、しかも227億円も貸しつけている。
協同組合による金融事業に関する法律によれば、貸付の限度は自己資本の100分の20。つまり20%以下。
朝銀大阪の貸付限度額は、40億円から、50億円ほどだ。
にもかかわらず、朝銀大阪は何故、227億円もの金を個人に融資していたのか?

土地の登記簿
この個人とは、JR高槻駅近くの土地を所有していた金本氏(仮名)であることが判明した。
金本氏は、この土地にパチンコ店などを作ろうとしていたが、バブル崩壊後、会社は倒産し、この土地も人手に渡っている。
金本氏の会社の専務からパチンコ店建設の説明を受けた地元の有力者に話を聞くことが出来た。

金本氏の会社の専務から説明を受けた地元の有力者(右側)
『大阪の高槻の駅前の、そんなええとこでやなあ、やるんやったらね・・・なんぼでも本国から出る言うた』
『本国ですか?朝銀のことですか?』
『そうそうそうそう』
【金本氏の土地への融資】
★昭和62年8月〜平成2年4月住銀リースなどから74億円の融資
★平成2年5月朝銀大阪が55億円の根抵当権設定
★平成4年1月朝銀大阪が極度額合計112億円に
この土地の登記簿謄本によれば、昭和62年8月から平成2年4月までの3年間に、住銀リースなどによって、合計74億円もの融資枠が設定され、実際に融資されていたことが分かった。
我々が不動産鑑定士に、バブル当時のこの土地の評価額を調べてもらった所、25億円だった。共同担保を含めても38億円程度に過ぎない。
にもかかわらず朝銀大阪は、平成2年5月、法定貸出限度を越える55億円もの根抵当権を設定し、さらに、その後わずか2年間で、112億円にまで極度額を広げている。
すでに担保割れしていたこの土地に、朝銀大阪が、112億円もの融資枠を設定したのは、何故か?
我々は、朝銀大阪の当時の理事長、金壽坤(キム・スゴン)氏に直接確かめるために、彼の住むマンションを訪ねた。
旧朝銀大阪の元理事長、金壽坤氏は日本名、山本を名乗っていた。

旧朝銀大阪
金壽坤(キム・スゴン)元理事長(左側)
『山本さんですよね?』
『何ですか?』
『山本さんところ・・・お訪ねして・・・』
『いや(山本とは)違います』
『いいえ、何人も写真を見せてですね確認したんですけども、確かに山本さんだということでですね・・・』
『もうそれやめてよ。・・・もう昔のこと堀り出さないで頂戴よ』
取材班が、高槻の土地の謄本を見せて、金本氏への融資を確認すると・・・
旧朝銀大阪
金壽坤(キム・スゴン)元理事長
『初めのやつ(55億円の根抵当権)は知っとったけど、これは優秀で・・・それで、いちいち理事長のとこ持ってこないで、決済・・・ちょっとふくれあがるかもしらんけども、それで最終的には(自分に)また持ってくるかも知らんけどさ・・・』
金壽坤元理事長は、極度額55億円という金本氏への最初の融資枠設定を承認していたことを認めた。
金壽坤元理事長が優秀だと言った高槻の土地は、バブル当時は、融資する価値があったのだろうか?朝銀大阪の当時の役員に野村旗守が電話で話を聞いた。
元役員は放送で音声を使用しないことを条件に取材に応じてくれた。
朝銀大阪の当時の元役員 『私、野村です』
『ああどうも』
『どうもお世話になっております』
『理事長は、「高槻の土地は住銀リース(の担保)に入っているからね、担保取ることができなかったたんだ」とこう言ってましたけどね』
『なるほど。理事長が言うには、前の土地は、住銀の方の担保に入っているから、担保はとれなかった』
朝銀大阪が金本氏に融資枠を設定する以前に、高槻の土地がすでに担保割れしていることを理事長は知っていたと言う。
住銀リースなどによって、すでに担保割れしていることを承知で、金壽坤理事長は、高槻の土地に112億円もの融資枠を設定したのだ。
これは、刑法上の特別背任行為に当たるのではないか?破綻当時、朝銀大阪の検査を行なった大阪府を須田慎一郎が尋ねた。
大阪府商工部金融課特別対策班
吉野隆之班長
『背任的な世界に入ってきませんか?』
『うーん、まあ、それが事実・・・ね、どういうのかな・・・あのうおっしゃってる事が確実にそうだったらそうなるのかもしれないですよね。ただ分からないですよね、そこは。
たまたま破綻したので、破綻原因の調査っていうのをやってますけど限界としては、まあそこまで・・・個人をずうっと追っていくっていうのは、我々にはできない』
こうした杜撰な融資を行ない破綻した朝銀大阪。しかし、これまで一切、経営責任も問われないままに、その処理に、国民の税金3101億円が、無風状態で投入された。朝銀大阪破綻処理への公的資金投入に問題はなかったのか?

公的資金投入への疑義
朝銀大阪の破綻に続いて、去年5月、朝銀東京など13もの朝銀信用組合が相次いで破綻した。
朝銀とは、そもそもどのような金融機関なのか?
戦後、在日朝鮮人の暮らしは貧しかった。
民族差別などのために、日本の金融機関から融資を受けられなかった在日朝鮮人は、それぞれの地域で、自分たちのための金融機関を作ろうとした。
こうして1952年以降、在日朝鮮人による信用組合が、各地に次々と設立された。
玄(ヒョン)・キテックさんは茨城県内に信用組合を作ろうと努力したひとりだ。1953年に設立されたその信用組合が、全国で初めて、朝銀の名前を名乗った。
旧朝銀茨城信用組合元理事
玄(ヒョン)・キテック氏
『俺たちの銀行だ、だからね、朝鮮銀行という風にね、つけようと思ったら駄目だっていうんだ。信用組合じゃなきゃ駄目だって言うんだ。だから朝銀というふうに縮めて、茨城県信用組合と、こういう風にね、とうとうああいう風になったんだ』
その後、各地の在日朝鮮人によって、全国に次々と信用組合が設立され、38組合にまで拡大した。これらは、本来それぞれ独立した金融機関である。
しかし、去年、13もの朝銀が相次いで破綻したため、朝銀の合併化が進み、朝銀大阪方式で、破綻処理を行なおうとしている。
朝銀大阪方式とは、朝銀大阪が破綻した際、近畿の5つの朝銀が合併して、新たに朝銀近畿を発足させ、朝銀大阪の受け皿機関となり、公的資金を受けた後、朝銀大阪の事業を譲り受けるというものだ。
この朝銀大阪方式で、全国32の朝銀を4つにブロック化し、そこに、破綻処理として、1兆円とも言われる公的資金が、今、投入されようとしている。
しかし、朝銀大阪方式には、モラル・ハザードを指摘する声が、国会議員から上がっている。
『私は極めて不自然・・・極めて不自然。通常ではあり得ない話だということを申し上げたい』
と3月29日に衆議院大蔵委員会でこの問題を追及したのは、民主党の上田清司衆議院議員であった。
朝銀大阪方式のモラル・ハザードとは、どのような点なのか?

上田清司衆議院議員(民主党)
『預金者を保護するという名目の下にですね。苦しくなったら潰す。で金銭贈与だけは受けると。そして経営陣がそのまま、また、入ってくると。こんな楽な商売はないじゃないですか。それと同じ様なことがですね、近畿では行なわれていると』

朝銀近畿の年賀状(後列右からニ番目が文学秀氏)
確かに、朝銀大阪破綻の原因となったバブル当時の常勤理事、文学秀(ムン・ハクス)氏が、受け皿機関である朝銀近畿に移り、常務理事として役員に名を連ね、今年の朝銀近畿の年賀状にも顔を見せているのだ。
当時の監督官庁であった近畿財務局は、こうした人事をどう見ているのか?
近畿財務局の見解 『破たん金融機関の役員が、受け皿金融機関に、役員として入っているのは、一般的に好ましくない』
さらに、合併した朝銀への公的資金投入の前提に、重大な疑義が出されている。
各地の朝銀信用組合は、実質的には一体ではないかと言う疑問だ。
一体だとすれば、その破綻処理への公的資金投入そのものに疑問が生まれてくるのだ。

全国の朝銀を支配する朝鮮総連
【朝銀パンフレットより】
『朝銀が一つの経営体のように総合力を発揮する』
ここに、全国朝銀の現況を示したパンフレットがある。
これを見ると、全国の朝銀が、ひとつの理念、ひとつの経営方針の下にあることがわかる。
その方針には、朝銀がひとつの経営体のように総合力を発揮するとある。これは何を意味しているのか?
大阪府が作成した資料によれば、朝銀大阪の大口定期預金者リストの上位を『中間法人』がずらりと占めている。
朝銀の元役員によれば、この中間法人とは、他の朝銀のことを指している。ある朝銀が貸出過多となった場合、他の朝銀が、ひとつの経営体のように、資金を融通しあっていると言う。
【朝銀の人事異動例】
朝銀埼玉(入組)⇒
朝銀秋田⇒
朝銀東京⇒
朝銀埼玉⇒
朝銀栃木(理事長)
また、各朝銀の人事異動を調べると、複数の地域を渡り歩き、入組した朝銀とは全く別の朝銀の理事長に就任するというケースがほとんどだ。それは、まさに支店長の転勤と呼んだ方がふさわしい異動だ。
朝銀のように理事長が他府県を異動するという人事は、他の信用組合でも行なわれているのか?
全国信用組合中央協会に聞いてみた。
全国信用組合中央協会
坂本嵩専務
『その地域における中小企業のですね、リーダー的な存在の方がですね、理事長となるというケースが多いということが言えようかと思います』
『他府県に来てあまり理事長になんかならないですかね?』
『そうですね、そういったケースは少ないんではないかと思いますが、ええ』
朝銀の場合、こうした地域との関係を全く無視して理事長が決まっている。実は、朝銀の人事には大きな問題があった。
在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)、いわゆる朝鮮総連経済局の元指導員であった張明秀(チャン・ミョンス)氏。彼は、各地の朝銀が統一して使用している手帳の1990年版を見せてくれた。
朝鮮総連経済局元指導員
張明秀(チャン・ミョンス)氏
『ここには金日成の、いわゆる教示というのも出され、そして総連の綱領もいわゆるこのように掲げられているわけですよね』
『朝銀の人事などはどのように決まるのですか?』
『朝銀の人事も、結局経済局で全部やるわけですよ、経済局で。いわゆる総聯中央の指示、それを絶対生かしてやっていくのが、朝銀のいわゆる理事長とか、そういうのが・・・みんなそういうのじゃないですか』
朝鮮総連とは、1955年に結成された北朝鮮の海外公民団体である。日本と国交のない北朝鮮の日本における実質的な代表機関だ。
朝鮮総連の冊子によれば、総連の各級機関を示した図に、白マル印で、朝信、つまり全国各地の朝銀信用組合が、朝鮮総聯の機関のひとつとして描かれている。
北朝鮮の故金日成主席は1973年、総連と信用組合の関係について触れ、総連が、信用組合を効果的に運営し、会員獲得に利用するよう指示している。
その教えは、朝銀手帳にかかれた朝銀の歌にも反映されている。

1990年版『朝銀手帳』より
『我々は栄誉ある朝信の働き手
父なる首領様の教示を掲げ
70万同胞の家を探し
我々の行く道を教えに今日も行く』
このように各地の朝銀は、北朝鮮の代表機関・朝鮮総連に人事権を握られた金融機関であり、実質的に一体なのだ。
しかし各朝銀は、法律上は独立した金融機関となっており、それぞれ個別に預金保険機構に加入しているため、ひとつの朝銀が破綻した場合、公的資金投入が認められるのだ。
上田清司衆議院議員(民主党) 『朝銀というですね、朝鮮銀行・・・各都道府県の名前を付けて、何々組合という形でありますけども、これをこう単独の金融機関とみなすのか、みなさないのかという、この議論から、またスタートしなくちゃいけない。私に言わせると、支店じゃないかと。本店が総連じゃないかと。こんな疑いがある以上ですね、これは通常のですねえ、公的資金の仕組みを入れていいのかどうかっていうことに関して、私は相当疑念があります』

朝鮮総連の秘密文書から明らかになる数多くの架空融資
朝銀破綻。そして公的資金投入への数々の疑問。
しかし、朝銀破綻の原因を調べていくと、そこには多くの架空融資疑惑と朝鮮総連の影が浮かび上がってくる。

総連極秘文章
我々は、ある文書を入手した。
極秘、1998年と書かれたこの文書。
これは、朝鮮総連財政局の局長が上部に報告するために、作成したもののコピーだ。
そこには、次ぎのように記されている。
総連関係の借り入れ金は合計で、全国では、2000から3000億円にもなる。
この文書には、在日朝鮮人の共有財産とも言える複数の民族学校などを担保に、金融機関から融資を受けた状況が示されている。
担保とされているなかに中央学院という名前がある。
中央学院とは、東京都八王子市にある朝鮮総連中央学院のことだ。朝鮮総連の幹部を養成する機関である。
この中央学院を担保にしたケースのみ、融資を受けた先が詳しく書かれている。
朝信商事などの総連系商社の名前に混じって、徐とか沈とか書かれているのは、何を意味しているのか?
中央学院の登記簿謄本を調べてみた。
沈というのは、シムと読む在日朝鮮人の個人名であった。
沈氏は、朝銀福岡から、平成3年、極度額11億円の根抵当権を設定されている。
何故、学校を担保に、個人が、朝銀福岡から融資枠を受けることができたのか?
我々は沈氏の元に向かった。
登記簿に書かれていた沈氏の住所は、朝鮮総連の福岡県本部だったが、彼の姿はここにはなかった。
取材の中で、沈氏が北九州市にいることが分かった。

11億円を朝銀福岡から借りたとされる沈氏(中央)
『すいません、こんにちは。こちら沈さんのお宅じゃないですか?』
『はい』
『沈さんでいらっしゃいますか?』
『はい』
『中央学院の・・・』
取材班が『中央学院』の名前を口にした途端、沈氏の態度が一変した。
『もうええ、いらんけ関係ない、もう。何を・・・』
『借りたんですか、お金は?』
『何の借りた・・・何をね?』
『お金借りたってことになってますよ?』
『知らん、そんなことは』
『11億円ですよ』
『11億も・・・11億も借りたことないやね。何のために私が11億・・・こんな汚いとこ住んどるかね』
『じゃ借りてないんですね』
『借りてない、借りてない』
沈氏は、11億円を借りていないと言う。
とすると、沈氏の名義を使って、朝銀福岡が、架空の根抵当権を設定したことになる。それは何故か?
朝銀福岡に取材を申し込んだが、拒否された。
不審な融資は他にもあった。
東京都文京区にある朝鮮出版会館。
ここを担保に、昭和63年、朝銀大阪が、国土実業という朝鮮総連系企業に設定した極度額30億円の根抵当権。
さらに、平成2年、朝銀東京が韓氏に設定した極度額17億3千万円の根抵当権。
関係者の証言から、極秘文書に書かれたこれらの融資も架空であることが判明した。各地の朝銀が架空の融資枠を設定するのは、何のためなのか?
われわれは、極秘文書を作成した朝鮮総連の財政局で、数年前まで幹部をしていた人物との接触に成功した。
元幹部が差し出した名刺には、確かに、在日本朝鮮人総連合会・財政局とある。
朝鮮総連の極秘文書に書かれた数々の架空融資。どうしてこのようなことが行なわれているのか?

朝鮮総連財政局元幹部(左側)
『借りているのは誰ですか?』
『(朝鮮総連)中央財政局じゃないですか。中央財政局がお金を借りて、そのお金を借りる便宜上・・・そう、便宜上個人の名前を使ったんですよ』
『じゃあ、これらの総連系企業も同じことですか?』
『そうです』
『便宜上名前を使ったんですね』
朝鮮総連財政局のこの元幹部によれば、実際に金を借りているのは、総連の財政局で、借り入れる便宜上、総連系企業や個人の名前を使っていると言う。
朝鮮総連財政局元幹部 『でもどうして朝鮮総連は自分の名前でお金を借りないんですか?』
『総連という名前を残したくないとね。それで借りたということが一般の人達にはわからないでしょう。だから、総連という名前で借りないで、そういう企業体あれば、企業体で全部借りているから、もう目一杯だと、銀行の方が。だからこれにみあった個人の名前で借り入れをおこすということですよ。』
『はあ・・・なるほど』
『朝鮮総連が全部借り入れてるのと同じですよ、これは』
『全部ですか?』
『ええ』
つまり朝鮮総連に密かに渡した金を、朝銀が帳簿上、処理をするために架空の融資枠を設定し粉飾していると元幹部は言う。
朝鮮総連財政局元幹部 『捻出された金というのは、大体どれくらいになると?』
『3000億ぐらいあるんじゃないかと思いますね。もっと調べれば、その数倍ぐらいになるんじゃないかと思いますけどね』
朝鮮総連は、その金を何に使っているのか?
その手がかりともなる事例が名古屋にあった。
今から3年前の平成9年5月、名古屋地方裁判所で、ひとつの判決が言い渡された。朝鮮総連系の商社・東明商事のパク・イルホ社長が、朝銀愛知の崔宗哲(チェ・ジョンチョル)元副理事長に対して、17億5000万円の債権を有することが確認された。
何故朝銀愛知の副理事長が17億5000万円もの金を借り、返せなくなったのか?
話は、10年以上前に遡る。
1987年7月、朝銀愛知の本店内で、崔宗哲副理事長が、東明商事のパク・イルホ社長に資金提供を申し入れた。
東明商事
バク・イルホ社長
『土地を買って、それでその土地を転売して得た利益を、祖国統一等のために使うんだと。その軍資金捻出のために、パク社長ひとつ一肌脱いでくれと言うことで、私に直接働きかけがありました』
その翌月、大阪のパク社長のもとに、朝銀愛知の崔宗哲副理事長が訪ね、現金3億5000万円を受け取り、取引が始まった。
東明商事
バク・イルホ社長
『20回近い回数で、トータル的には、まあ80億近い金額が行ったり、来たりしたということですね』
しかし1989年、事態は一変する。
パク社長が、朝銀愛知の口座に入れてあった預金など17億5000万円が、知らぬ間に全て消えていたのだ。
預金はどこへ行ったのか?
我々は、崔宗哲(チェ・ジョンチョル)元副理事長の住む名古屋に向かった。

朝銀合愛知
崔宗哲(チェ・ジョンチョル)元副理事長
『すいません、崔宗哲(チェ・ジョンチョル)さん?』
『いや、違いますよ』
『崔(チェ)さんじゃないですか?』
『何ですか?』
『あの東明商事の件で、裁判やってますけども、あの件に関して、ちょっとお伺いしたいんですけども・・・』
『いやちょっと僕は、全然関係ないですね』
『全部事実ですか?』
『いやいや事実じゃないですよ。事実じゃないですよ、分からん俺は』
『どうして分からないのに、事実じゃないと言えるんですか?』
『いやいや・・・』
『東明商事の社長さんが、これは絶対に崔(チェ)さんが・・・自分が横領されたものだというふうにおっしゃって・・・』
『俺が横領することないだろう』
崔宗哲元副理事長が個人で横領したのでなければ、預金はどこへ消えたのか?

崔宗哲元副理事長直筆の署名が入った文書
崔宗哲元副理事長直筆の署名が入った文書がある。そこには、金の使いみちとして、共和国、つまり北朝鮮への送金2億円と書かれている。
これは、朝銀マネーが北朝鮮に流れていることを意味しているのか?

北朝鮮への献金指令
我々が接触に成功した朝鮮総連財政局の元幹部。彼自身、北朝鮮への送金に直接関わったことがあると言う。

朝鮮総連財政局元幹部(左側)
『私が大きく持って行ったのは、向こうで13次の世界青年学生の祭典があった時』
第13回世界青年学生祭とは、1989年に、北朝鮮の平壌で開催された祭典のことだ。朝鮮総連によれば、3000名を超える在日朝鮮人が参加し、祭典の成功に大きく寄与したという。
その時、北朝鮮への送金も密かに行なわれていたのだと言う。
朝鮮総連財政局元幹部 『世界青年学生の祭典があった時に、その時こちらでドルに替えて持って行ったやつもあるし、日本円のお金に直すと1億2000〜3000万くらいになるんじゃないかと思いますね。それと日本のお金を5000〜6000万円、一緒に持って行きました』
それでは、北朝鮮からの献金指令は、どのように彼らに伝えられるのか?
朝鮮総連財政局元幹部 『その伝達に来るのは、総連を指導する総連指導課というね、そのトップである姜周一(カン・ジュイル)が来て(伝える)』
『どうやって来るんですか?』
『船で、万景峰(マンギョンボン)号』
『万景峰号ですか』

万景峰号
万景峰号とは、新潟と北朝鮮との間を往復している北朝鮮の定期船のことだ。
北朝鮮の総連指導責任者、姜周一氏が利用する部屋は、この船の4階にあると言う。
朝鮮総連財政局元幹部 『その部屋の中に実際入ったことはありますか?』
『あります。普通だったら、あの船の特等室くらいの費用かけてあります』
『姜周一(カン・ジュイル)が船に乗って来る・・・』
『来て、総連中央のキョ・ソウマンに伝達するでしょう』

許宗萬責任副議長(中央)
キョ・ソウマン氏とは、朝鮮総連の許宗萬(ホ・ジョンマン)責任副議長のことである。
先月、キム・ジョンイル総書記の誕生日の際に、北朝鮮を訪問し、総書記と肩を並べて記念撮影を許される朝鮮総連の最高実力者のひとりである。
そして、朝鮮総連財政局の元幹部が、北朝鮮への献金ルートの全容を初めて明らかにした。
【献金指令の流れ】
北朝鮮金正日総書記⇒
総連指導責任者姜周一氏⇒
総連許宗萬責任副議長⇒
総連中央常任委員会⇒
総連各地方本部
北朝鮮の金正日総書記から出された献金指令は、朝鮮総連指導責任者の姜周一(カン・ジュイル)氏を通して、総連の許宗萬責任副議長に伝えられる。
許宗萬責任副議長は、その指令を持ち帰り、総連中央常任委員会で討議する。
その後、総連中央の組織局から総連の各地方本部に献金額の割り当てが伝達されると言う。
朝鮮総連財政局元幹部 『お金はどこにあるんですか?』
『それは各信用組合があるでしょう、各県の』
『朝銀ってことですね?』
『そうです。理事長とかね、副理事長あたりが持って、中央に駆け参じて来るでしょう』
『どうして、そう易々と総連は朝銀を動かせるんですか?』
『それはまあ人事権まで握ってますから、総連の方で。理事長ね、我々の方の話を聞くような人を配置するからと。そしたらもう駄目ですよ。言うこときかないわけにはいかないですよ』
こうして集められた金は、朝鮮総連新潟県本部内に運ばれた後、小分けにして、万景峰(マンギョンボン)号に密かに積みこまれ、北朝鮮に送られると言う。
朝鮮総連財政局元幹部 『ご自身が何度か新潟までお金を運んだ。全部で何回ぐらい?』
『30回から40回ぐらいありますね。30億から40億ぐらいになるでしょう。』
『最低それだけのお金は北朝鮮まで運んだと?』
『数字的には微々たるものですけど。それ以上の金が行ってますよ、確実に』
『確実に』
『1000億ぐらい行ってるでしょう』
北朝鮮に不正に流れている朝銀マネー。
その朝銀の破綻処理に、今、国民の税金・一兆円とも言われる公的資金が投入されようとしている。



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